4. 幸福感を増幅する人間関係

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幸福のまじめな話

幸福感を増幅する人間関係

社会的欲望の他の三つの分野についても詳しく見てみましょう。

自由意志による真理、美、善を追求する行動は感動と喜びを提供してくれます。

その喜びを自身の中にだけ留めるのでは無く、家族や仲間と分かち合うことにより、感動や喜びを共有すると説明いたしました。

個人で求めた自由ですが、喜び(幸福感)を増大させるには、人間関係を築いていかなければならないと言うことになります。

ですから、家庭、友人、職場は人間関係を築き、喜びを共有する為には必要な場所で有るということです。

先ほど述べたように、個人で得た喜びを他人と共有したいという衝動に駆られ、他の人との関わりを求めるようになると言いましたが、
もう一つの理由としては、人間は感情の動物あると言われるように、喜怒哀楽を求めて毎日過ごしています。

この喜怒哀楽の感情は一人では感じることができません。他者との関係性において生じる感情です。

一人で壁に向かって喜んだり怒ったり悲しんだり泣いたりする人はいないと思います。

たとえ壁に向かっていても、頭の中にはその時の場面であり、状況であり、関わった全ての人が浮かんでいるのではないでしょうか。

喜びを増幅する為の人間関係ですが、社会生活の中で生じる人間関係において良い時ばかりではありません。

社会的欲望の喜びは社会生活の中で必要なもので、これらが疎外された場合には社会の中で存在する事が出来なくなってしまいます。

社会との関わりを拒絶してしまい、あたかも刑務所の独房に入れられているような気持ちになり、自己破滅へと落ちていく場合が多いわけです。

社会的欲望が得られない場合とは、お金が無い、家族もいない、時間も無い、働く場所も無い、友達もいない、まして病気で体も自由にならないとなれば、絶望の状況ではないでしょうか。

このような中に置かれた人間は生きていくことができず、孤立していきます。そして最悪は自らの命を断つと言う決断を下すようになります。

個人が社会の中で他者との関係を持つ場合には、お互いの幸福を追求する権利を侵害しないために、社会的ルールとそれを守る約束が必要となってきます。

スポーツで例えるなら、サッカーチームのコーチが選手に向かって、今日は自由にやっていこうと言った場合でも、手を使ってボールを持って歩いたり、人数を12人に増やしたりすることはないでしょう。

自由に行動すると言う事は、社会生活の中にあっては、ルールや規則を守った上での自由であり、幸福の追求でなければなりません。

よく他人に迷惑をかけない限り何をしてもいいよと言うのは、そういう意味では間違いではないと思います。

他人の自由を侵害する事は、その人の自由意志が追求する真理、美、善なるおこないにより得ようとする幸福追求権を侵害する行為です。

ですからゴミを道端に捨てると言う行為は自分の自由意志だけれども、他人の美しい景観を求めようとする幸福を侵害する行為なので、それはしてはいけないと言うことになります。

自由意志によって得られた感動や喜びを他の人と共有する事は、自然な人間の行動であると話しましたが、一人の時の喜びよりも、
他の人と共有した時の喜びの方が遥かに大きいので、社会を構成する人数も多い方が良いと言うことになります。

量感の美:一輪のバラも美しいですが、10万本のバラ園の美しさはそれ以上に感動的なものになるでしょう。

多様性の美花壇に植えられているチューリップが赤一色よりも、黄色や青や桃色や紫などの色鮮やかな色で、咲いている方がより美しく感じられるのと同じです。

変容の美 : また一年中同じ花が咲いているよりも、四季を通して多種多様な植物が変化してゆく姿は、美しく情緒があって趣があるのではないでしょうか。

幸福の方程式

同じように、人間も様々な個性があり、顔形があり、肌の色の違いや、言葉の違いが有ります。

多種多様な民族、それと共に多様な文化があります。それらの社会がお互いの自由を尊重し、豊かな交流をもつことにより、美しい人間関係が築かれると信じています。

聖徳太子の十七条憲法の第一条には、和を尊重しようと書かれています。

今でも1400年以上も前に書かれたとは思えないほどの悟り切った言葉です。是非、私たちも心に留めておきたい教えです。

「一に曰く、和(やわらぎ)を以て貴しと為し、忤(さか)ふること無きを宗とせよ。人皆党(たむら)有り、また達(さと)れる者は少なし。或いは君父(くんぷ)に順(したがわ)ず、乍(また)隣里(りんり)に違う。然れども、上(かみ)和(やわら)ぎ下(しも)睦(むつ)びて、事を論(あげつら)うに諧(かな)うときは、すなわち事理おのずから通ず。何事か成らざらん。」

和を尊重し、争わないことを宗旨(主義)としろ。人は皆、党派を作るし、(物事の)熟達者は(常に)少ない。そのため君主や父親に従わなかったり、近隣と考えが相違したりもする。しかし、上の者も和やかに、下の者も睦まじく、物事を議論して内容を整えていけば、自然と物事の道理に適うようになるし、何事も成し遂げられるようになる。

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5. 心と肉体の成長に必要な欲望
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